二次元材料形成技術と電気化学的分析手法/結晶分析手法の今後の重要性

原子一層から成る二次元結晶薄膜の研究に進展がみられている。

カーボンではグラフェンが二次元結晶だ。
グラフェンの二層をずらして重ねることで、
超伝導性と絶縁性をコントロールできる可能性があるらしい。

https://twitter.com/mokuyojuku/status/976269047821029376

グラフェンの電気特性を絶縁体/超伝導体の間で切り替え制御 - MITなど | マイナビニュース


一方で、
二元材料はスピンコート法という極めて簡易で環境負荷の小さな手法で作成できることも
示されている。スピンコート法は従来200ナノメータ程度の厚さの薄膜を数回に分けて積層して形成する際に使用されていた。
今回の二次元材料は、結晶を原子一層の二次元の状態に剥離したものを分散させた溶液を用意して、それをスピンコートで大面積に薄膜形成する手法だ。
グラフェンだけでなく、酸化物ナノシートと呼ばれる二次元結晶にも適用できる。


https://twitter.com/mokuyojuku/status/976269843895787520

NIMS、スピンコートを用いて2次元物質の稠密配列単層膜を1分で形成 | マイナビニュース



さらに、二次元結晶は、カーボン以外でも多数発見されている。

黒リン、二硫化モリブデン(MoS2)、二セレン化タングステン(WSe2)が代表的だ。

今回の、UCLAの技術はベースとなる二次元結晶を作っておき、マイナスの電極として使い、プラスの分子をインターカレーションさせることで新たな二次元結晶を作成する電気化学的な手法だ。
インターカレーションは従来から、カーボンへのリチウムイオンのインターカレーションなどが知られていた。しかし、反応としてのインターカレーションだけにとどまらず、二次元結晶形成にインターカレーション反応を利用できた点で、UCLAの発見は意義が大きい。


https://twitter.com/mokuyojuku/status/976269230201909249

二次元薄膜の超格子構造を効率よく形成する新手法を開発 - UCLA | マイナビニュース

今後は、応用面では

次世代蓄電池、酸化還元触媒、太陽電池、透明電極、トポロジカル絶縁体、スピントロニクス材料の研究が盛んになっていくと思われる。

そうした中で、二次元材料の形成手法を確立することは
次世代の材料設計に生かすべき、非常に有用な技術である。

このとき、薄膜研究における電気化学的手法と、薄膜結晶分析研究の基礎(透過型高解像度電子顕微鏡HR-TEM、原子間力顕微鏡ATM、微量成分分析EPMA、化学状態分析XPS)は一層重要性を増すと考えている。


これ以外にも

ビスマス酸化物結晶、チタン・タンタル系ナノシート、鉛置換ペロブスカイト結晶などホットな薄膜研究分野は多い。また、古くから知られる銅も触媒的作用が強く安価で経済的に有利であるため今後の応用研究への期待は強い。

さらに、二次元薄膜以外にデンドライト応用の立体型薄膜という設計指針もある。

リチウム系電池、ビスマス・タンタル系薄膜、銅箔を20数年前に研究した元学生として、
これからの薄膜研究の行方に注目している。