化学から見た脂肪、コラーゲン、ゼラチンの特長、膠のめっき浴での働き

脂肪とコラーゲンは違うもの。
脂肪は炭化水素の長く結合したもの。16から20ぐらいの結合をしている。

炭素が結合して端にCOOHが付くと脂肪酸。
3列のCCCC-CCCC-CCCC-CCCC-CCCC(脂肪酸)が組み合わさって
端にグリセリンが結び付けた形で、トリグセリド。
トリはトリプルのトリ。
単純脂質に属する中性脂肪の1つである。略称してTGまたはTAGと表す。

つまり、脂肪は炭素ばっかり。

一方、
コラーゲンとゼラチンは、似ている。

http://sirabetayo.com/919.html

コラーゲン分子を熱で変質させるとゼラチンになる。

コラーゲンは動物のアミノ酸の結合したもの。
アミノ酸は、
アミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を持つ有機化合物の総称である。一方、狭義には(特に生化学の分野やその他より一般的な場合には)、生体のタンパク質の構成ユニットとなる「α-アミノ酸」を指す。

グリシンっていうのが、一番単純なアミノ酸だが、

炭素と窒素と酸素の結合したもの。
つまりは、たんぱく質。

コラーゲンは、アミノ酸からできている。

牛肉を例に説明すると脂身は脂肪です。
コラーゲンがあるのは、軟骨やスジの部分です。

軟骨やスジの部分がコラーゲンで、コラーゲンを熱すると
変質してゼラチンになる。

ゼラチンだけをうまく取り出したものが、
一般にゼリーとかを作るときに使うもので、

あまりきれいに取り出さないと、膠(にかわ)と呼ばれる。
膠はコロイド状態を保護する保護コロイドの材料で、
墨汁などが、墨がうまく水に浮いているコロイドを作るのに利用されている。

その他、めっきでも少量添加されてコロイドとして働いたり、
めっき表面に吸着して、なめらかにしている。

アミノ酸の窒素が、金属に吸着する力があって、
その窒素を含む自然高分子であるゼラチンは、
めっきの金属表面にも吸着して、めっきの成長反応を穏やかにしている。

自然と科学技術は、繋がっている。
どちらが、よくて、どちらが悪いではない。

自然の知恵を人間の知恵と合わせて科学が進化してきている。
自然界にないものを人間が作り出すと、それはすべて
悪という考えが、食品化学にはあるようだが、

自然のものを取り出して、自然を真似して作る人工の物質によって
化学は発展している。

石鹸をはじめとする界面活性剤、洗剤の類も、
自然にはない。
自然だけでは肉の脂と植物の灰を合わせて作るしかない。

それでは、全人口の石鹸を賄いきれない。
そこで、肉でない、植物の脂、昔の肉や植物だった石油の脂。
灰のアルカリの代わりに水酸化ナトリウム(ソーダ)を使うようになった。

現代はもっとそれが複雑になって自然から離れてしまっているが、

基本は自然を模倣して化学が始まる。
自然こそ化学と物理の基本だと信じている。