ゼンマイ仕掛けのカブトムシ

陽水さんの若いころの歌で、
ゼンマイ仕掛けのカブトムシという歌がある。

君の顔 笑った
なんにもおかしいことはないのに
君の眼が 壊れた
ゼンマイ仕掛けのカブトムシみたい

ここに、深い意味を付けていると陽水さんは言う。

幸せに糸付け引きずりまわしていて壊れた

ゼンマイ仕掛けのカブトムシ

生のカブトムシに糸を付けている世界は、人間的かもしれない。
それがゼンマイ仕掛けのカブトムシに糸を付けてる世界は、
果たして人間的だろうか?

機械やインターネットに囲まれて生きる非人間的な社会を
予見していて、
しかもそれに順応して、笑っている君たちの目は
すでに壊れている。
機械に囲まれた、生きづらさを抱えた現代社会で、

壊れてしまったように見える人間、
笑ってしまうような不器用な人間こそが、
本当にピュアで、真の人間性をもった人間で、

順応できない彼を笑っている普通の君たちの目の方が実は壊れている。

というような意味を語っていた。


「ゼンマイ仕掛けのカブトムシ」という、
自然をなくしていく現代社会を象徴するキーワードを
タイトルにしていることから、

「君の目が壊れた」
という一般的な社会に順応している人間の考えが、
実は壊れているという、ことまで、

複雑な詩の世界を表しているらしい。

これは長年聴いていた陽水ファンでも
気付かない詩の世界だな。