中学生の成績を上げる指導と家庭教育のヒント@理科の視点から考える

【中学生の指導】
中学生のプロ家庭教師をしていています。以前は、学習塾でさまざまな中学生の指導をしてきました。私自身は、理科が好きで大学院まで理科を専攻して、工業系の仕事も経験してきました。


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【家庭教育】
その中で、中学生の理科の指導をする機会に恵まれました。理科は生活に密着した科目で、家庭で教育するのに非常に向いていると思います。理科に取り組む中学生だけでなく、中学生の家庭教育をする親御さんのヒントになる情報をまとめました。

【好きな科目】
学習は、どの教科でも同じですが、好きな科目が一番成績な伸びるものです。好きな科目は楽しい科目であることが多いです。先生が楽しませてくれるから、その科目が好きになることもあれば、科目自体が好きな生徒もいます。

【理科】
理科は、主要五教科の一つですが、数学や英語に比べると若干、軽い扱いをされています。高校受験でも、私立学校では必須でない場合もあります。高校でも文系コースを選ぶと、授業数も少なく、ほとんど学ばずに済んでしまいます。大学でも英語は必須科目でも理科は必須ではないことがほとんどです。

【理科少年】
一方で、理科少年少女というような言葉があるように、小学生のうちから、理科が好きな生徒はいます。機械いじりが好きで時計やラジオを分解した、魚釣りや昆虫採集が好き、天気予報と温度湿度のグラフを夏休み期間中に作った、プラモデルでリアルに見える色塗りにハマった、ゆでたまごが美味しくできる時間を計った、化石を掘りに河原へ行った、水族館や動植物園が好き、発明王エジソンや飛行機のライト兄弟の伝記に感動した、と理科と関係する楽しい思い出を持つ人は実はとても多いと思います。

【暗記科目】
それでも中学校から高校にかけての理科は暗記科目として敬遠される苦手イメージを持つ人が増えてしまいます。

【実験】
理科好きな学生は、「実験が面白かった」と授業の振り返ります。私も実験は、楽しくてワクワクした気持ちを覚えています。

毎回、実験をしていれば理科は楽しい授業になるでしょうが、普通の学校ではとても準備できません。実験風景を動画で見せてくれる、あるいは、実験風景の写真を見ながら説明する程度でしょう。

実験は、あくまでも理科の魅力のほんの一部です。

【理科は観察】
理科の本質は、「観察、思考、実験、分類、分析、評価、対策」にあると思っています。これは、仕事術として有名はPDCAサイクルと関係しています。計画、行動、評価、改善のサイクルで仕事を改善していく手法です。理科の分野でも工業に近い場面では、このPDCAサイクルを回ることが指導されます。

【理科とPDCA】
理科では、「観察、思考、実験、分類、分析、評価、対策」とPDCAよりも項目を多めに書きました。特に前半に重要と思う「観察と思考」を書きました。

理科では、基本的な原理を学ぶことと、身の回りの自然や物事をしっかり観察することを重視します。ビーカーや試験管を使った実験は、観察を分かりやすくしているものです。自然そのものを観察して、理解しようとしても複雑すぎて分からないことが多い。そこで、自然からエッセンスを取り出して、小さな装置や道具を使って再現して観察しやすくしているのです。

【観察のトレーニング】
観察は、すぐに誰にでも出来るものばかりではありません。同じような現象を目の前にしても、見ようと思って見なければ見えないモノがあります。どこに注目してしっかり見るかは、トレーニングで鍛えるテクニックです。観察には、訓練が必要です。

【観察のまとめ】
観察した結果から、すぐに現象が理解できて、改善点が発想できるような学生は天才です。そんな人は、ほとんどいません。観察をいくつか比較するために、グラフにプロットして比較する手法も必要です。

【理科と数学】
グラフのプロットと実際の現象の関係を理解するには、物事の原理つまり物理を考える思考が必要です。物理には、すでに分かっていることがあっても、目の前のこの現象にそれが当てはまるかどうかは、確かではありません。最初は仮説という扱いです。

物理を踏まえたうえで、実験のデータを数式で表現しようとするアプローチもあります。数式とデータが一致すれば、数式の基になった仮説が正しいと推測できます。

理科は自然を理解して応用するために発展しました。数学は、物理現象を数式で表すために発展してきました。

【理科とビジュアル】
理科の手法は、複雑な現象を観察して理解して応用していくときに役立ちます。新聞に記事の文字、見出し以外に、写真やグラフ、表が掲載されています。そうした複雑な情報を分かりやすく伝える手法も理科が得意としているものです。

文字や言葉だけでは、伝えきれない複雑なことでも、写真やグラフといったビジュアルに訴える情報にすることで伝えられます。

【模式図と理科】
ビジュアル化の中でも特に重要な手法が「模式図」です。写真は、現実そのものの複雑な現象から一部を切り取って、分かりやすく見せることができます。模式図ではさらに、分かりやすさを追求して、写真のなかの複雑な現象の「解釈」を、ビジュアルで示しているのです。

【理科的思考】
理科的思考というのは、突き詰めると

「観察して、ビジュアル化して伝える」ことだというのが、私の理科に対する考えです。

【理科の成績を上げる】
理科を好きな中学生を増やすには、ビジュアル教材を重視するのが近道です。

【理科以外の成績を上げる】
逆に理科が好きな中学生にとって、理科以外の成績を上げるには、ビジュアル以外の教材から学ぶ力を付けなくては伸びません。字や音から学ぶ読解力が足りない生徒は、理科好きでも、国語、英語、社会の成績が伸びません。数学でも文章題の意図が読めないと得点できません。国語、英語、社会の教材にも漫画や動画を増やして、ビジュアルから学ぶ力を活かして成績を上げる指導と併用すると効果が上がると考えています。

【家庭での教育】
現代は、情報が多くて複雑な現象を扱います。理科を学ぶことは複雑な現象を理解して対策を考えることに役立ちます。理科が好きな生徒の特性を推測することで、理科以外の教科の成績も上げる指導ができます。暗記科目として苦手意識を持たせることなく、生徒に合わせた家庭教育をしていくヒントにしてもらいたいです。