アール・ブリュットの原点 アドルフ・ヴェルフリ

名古屋市美術館で開かれているアドルフ・ヴェルフリ展を見ました。

ヴェルフリは100年ほど前のスイスの統合失調症患者で精神科病院の中で膨大な作品を書いたアウトサイダー アーティスト。
アール・ブリュットの原点と言われている。現代アートにも影響を与えたと言われる。

作品は大きく新聞紙のような粗末な紙に鉛筆と色鉛筆でかかれている。

草間弥生さんも統合失調症と言われているが、少し通じるものがありそう。

現実の模写ではなく内面からわきあがるイメージが次々と絵になったようだ。

ヨーロッパの古典絵画よりもインドの曼陀羅図に近いような模様がある抽象画です。

さくらももこのまんだらを模した作品にも少し似ている。

数字や文字、音符を絵にちりばめているのは、文学、数学、音楽という権威への反発と憧れが混ざっているようです。

アルファベットをモチーフに装飾的な絵が面白いです。

色鉛筆を使いはじめた中期の作品がよかった(v^-゚)

黒い鉛筆だけの作品は初期のもので迫力満点です。ほとばしる創作意欲。

現実ではなく内面を見つめつづけた人生で圧倒的で普遍的な表現力がある。

これはすごいと思わせるものがある。
常人ではなく狂気をはらんだ人にしか残せない作品群だ。

パンのための作品という商業向けの売りための作品だけでも1000点ある。それは病院の患者仲間に半分書かせて、大事な部分はヴェルフリ本人がかいたそうだ。

数千円から数万円で売っていたそうだ。

生涯に25000点という膨大な作品を残している。

酒乱の父と暴力的な母にせっかんされた幼少期。
売春婦との結婚も反対されて、性的暴行事件で収監されたりという、恵まれない上に社会にも適応できないヴェルフリが絵画に生き甲斐を見出だして才能を開花させている人生を考えると胸にせまる。

ゴッホ展に比べて観客は非常に少ない。名古屋市では受け入れられにくい画家ですね。

個人的にはすごくよかったです。