大型バイオ電池と鉄空気電池の可能性

 【夢みるバイオ電池】

【300ミリアンペアの大型バイオ電池】

工業大学でのバイオ燃料電池の論文を見ると電池の電圧はだいたい0.3ボルト以下だ。電流値は600ミリアンペアあるが電池セル面積が0.5平方メートル前後なので、電池としては300ミリアンペア程度だろう。単1のアルカリ乾電池の電流値と同じ程度だ。

【1キログラム当たり250ミリアンペアの鉄空気電池】

一方、鉄空気電池は1キログラム当たり500ミリアンペアhや80ワットhという文献データが見つかる。おそらく500グラム程度の卓上サイズと思われる。250ミリアンペアの電流値が観測された、ということだろう。

【バイオ電池1キログラム当たりの発電量】

バイオ電池も鉄空気電池と似たように放電する。バイオ電池は1メートル級の大きなサイズで電解液を含めたらおそらく30キログラム程度のもので放電量300ミリアンペアが得られる。

バイオ電池の電流値は1キログラム当たりに直すと10ミリアンペアとなり、鉄空気電池の10分の1以下となってしまう。

【空気電池は共通した仕組み】

バイオ電池には空気極があり、鉄空気電池と共通した構造だ。バイオ極と鉄極にそれぞれの特徴があるはずだ。バイオ極には鉄還元菌が下水中の鉄を還元した鉄成分が付着する。バイオ電池では発電菌が発電すると言われている。

【複数の国立大がバイオ電池を研究】

このバイオ極にの鉄成分は静岡大が発見している。静岡大は、鉄成分を予め加えた電極を作ると電池の電流値が上がることを報告している。岐阜大では鉄とリンが下水から取り出せたと報告している。

【バイオと鉄空気電池はほぼ同じ性能】

これらから推測すると、バイオ電池は下水中の鉄成分が電極に付着することで、鉄空気電池と同様の仕組みが出来上がり電流電圧を観察できるように思える。バイオ菌が発電菌として働くような従来の意味のバイオ電池ではなく、バイオの力で鉄空気電池を作っているように見える。

【バイオ電池には充電していない】

もし、バイオ電池に外部電源から充電したら鉄空気電池と極めて似たような挙動を示すはずだ。1度バイオ菌の力で鉄電極が出来てしまえば、電解液の中の発電菌は全くいなくても鉄空気電池として充放電するだろう。

【夢みるフロンティアな予算】

日本の材料科学は優秀と言われ、めっき科学と微生物科学は中身が謎のまま性能だけが良いと言われる日本の得意な分野だ。めっきは科学で解明されてきたと私には思えるが逆に夢見る希望が減って現実的な小さな予算のプロジェクトになっている。

【期待が大きいバイオ】

バイオはなんとなく夢があるフロンティアのように見られ、大きな予算が注ぎ込まれている。バイオと電気化学の融合分野では予算は取れてもまだ十分な成果はあがっていない。

【実験の目標】

まずはバイオ抜きの電池をしっかり作ってからバイオ電池に挑んで欲しい。充放電できる大型電池の充電のアシスト、または放電のアシストにバイオを使うイメージだ。バイオアシスト型の空気鉄電池のシステムは報告例はまだ見ていない。

【フォームエナジー社】

鉄空気電池ネットニュースのほとんどはフォーム エナジーの記事だ。研究室サイズではなく大規模化しているようだ。


https://energy-shift.com/news/c8a4700f-3035-4be0-9323-322015114103