二酸化炭素を重炭酸イオンに還元するレドックスフロー電池 京都大学

 二酸化炭素を重炭酸イオンに還元するタイプのレドックスフロー電池。対極はマンガンイオンの酸化数を利用している。これのポイントは二酸化炭素を重炭酸イオンに還元する触媒だ。普通、二酸化炭素が電極で簡単に重炭酸イオンにはならない。この二酸化炭が重炭酸イオンになる反応は、体内の呼吸反応で普通に血液中で起きている。この触媒機能は酵素反応が担っている。電池における触媒が酵素だと選択性が高いが安定性が低い。もっと使いやすい触媒があれば二酸化炭素の酸化還元を充電池の酸化還元に使える。京都大はイリジウム触媒を使っている。

二酸化炭素の酸化還元ができればそれが一番だが、水に溶ける有機物で酸化還元する物質と触媒があれば、このレドックスフロー電池の可能性は大きい。水素ガスの酸化還元やエタノールの酸化還元を使う燃料電池が知られているが、ガスの危険性や電極間を仕切る交換膜の劣化が問題で十分に実用化普及できていない。アンモニア燃料電池も同じ図式だ。水溶性の酸化還元する分子を見つければ電池ができる。たとえばピロールに鉄のついた人工赤血球のように酸素の着脱でも酸化還元の電圧がとりだせるかもしれない。葉緑素のようなピロールにマグネシウムのついた分子も太陽光jで酸化還元する可能性がありレドックスフロー電池と組み合わせることができるかもしれない。体内ではリン酸化合物の酸化還元がエネルギー出し入れを担っている。これも分子設計次第で電池材料になりうる。
対極もマンガンの酸化数も増減も、チタン、タンタル、ニオブ、バナジウム、鉄といった酸化数が変わっても析出しないイオンであれば可能性がある。ほかにも析出しないで酸化数の変わる無機イオンがあるはずだ。液体の酸化還元を使うのでフローで燃料を供給すれば発電量が大きくできる。電池の小型化軽量化は難しいが据え置き型で充放電できる電池には使える。こうした据え置き電池は自然由来電力と組み合わせるニーズがある。

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-10-04-0