鉄の媒染液をカイロの中身の粉から作ってみた★鉄電池へ応用したい

 ★鉄の媒染液の作り方を調べた。

https://note.com/oisi_sensyoku/n/n6d4fc8b7adf5

錆の付いた鉄くぎを酢で煮込むと黒い汁になるから、それをコーヒーフィルターでろ過すると鉄の助染液【媒染液】ができる。

媒染液とは

 鉄の媒染液とは草木染など自分で染め物をする人ならご存じだろう。染料と一緒につかうことで染めやすくなる液体だ。

酢酸鉄
化学で言うなら酢酸鉄が媒染液の主な成分になるはずだ。酢酸鉄は粉末では錆の茶色だが、水に溶かすと淡い緑の液体になると書いてある。茶色の媒染液は酢酸鉄がイオン化していないで小さな粉体が液体に浮いているようなコロイド液だろう。
媒染液の用途
鉄の媒染液は染料で繊維を染めるときの助けをすることに使う用途がほとんどだ。玉ねぎの皮のゆで汁やコーヒーで草木染するとうっすらとしか染まらない。この鉄の媒染液を併用して染めるとしっかり染まって洗っても染料が落ちにくくなる。




★繊維と媒染液の化学と電子
繊維はタンパク質で窒素部分が電子を多く持つ。そこに染料が吸着することでしっかり染まる。電子の多い部分はマイナスだ。プラスが多い部分があると吸着結合しやすい。玉ねぎやコーヒーだけでは電子の少ない部分、プラスの部分があまりない。
だから鉄イオンを併用する。鉄はプラスのイオンになって染料のマイナス部と繊維のマイナスを橋渡しするように結び付けて染料で染まりやすくしているのだろう。


★銅でもOK
鉄以外にもアルミや銅の錆も媒染液として使えるらしい。鉄さびが一番身近で使いやすい。
★お歯黒にも使える
お歯黒で鉄さびを塗る風習があった。安全面もそれなり証明できているのだろう。既婚女性が鉄分が不足するのを補うように歯に鉄を塗ったのか、未婚女性を区別するために塗ったのか定かではないが、日本で150年ほど前にはよくある風習だった。

★オリジナルな方法で媒染液自作
この鉄の液を、自作してみた。錆びた鉄釘を探すよりも身近な使用後のホッカイロの中身を酢で煮た。その後、フィルターでろ過した。液は既報とおなじ茶色い液だ。フィルターに残った錆は固まりかけた鉄さびの粉末のようだ。

★カイロの粉末から自作媒染液を作ってみたら
一部、黒茶色以外の明るい色の粉末が見られる。またホッカイロには鉄の粉末以外にも複数の成分が入っている。その影響だろうか。
ろ過した後の鉄の液は瓶に入れて保管しているが室温で変化は見られない。加熱、バブリング、太陽光などをしたら少しは変わるだろうが、今回はその予定はない。

★鉄めっきができるか?
この鉄の黒い液を使って、鉄めっきをしてみる予定だ。電極を入れてマイナス側に鉄が析出する様子を見る。今回は50ミリリットル程度しかないのでもう少し繰り返して500ミリLほど作る。

★鉄めっき
鉄めっきを作るが普通のめっきのようなピカピカの光沢面は期待していない。光沢めっきはむずかしいのだ。めっきは一般的には鉄の錆止めのクロムめっきか、金や銅めっきなどの貴金属を薄く表面につける。鉄をめっきするのはほとんどの場合、磁性めっきの一部だ。磁性を活かすのだから精密めっきで光沢よりもさらに高度なめっきだ。今回は磁性めっきでもない。


★鉄電池を作る
鉄電極を作って銅電極と合わせて鉄・銅電池を作る予定だ。鉄と銅だけでは単純なのだが、鉄電極を鉄の液からのめっきで作る点が少し珍しい。銅は銅板にしておく。


★鉄電池の対極は?
また銅電極と鉄電極の間を仕切るのはキッチンペーパーだ。電解液は、この黒い鉄の液に酢を加えたものプラスアルファだ。銅の代わりに備長炭を使うと鉄空気電池になる。


★鉄・銅電池
鉄・銅電池を電解液で作るなら、仕切りの膜はキッチンペーパーだけでは足りなそうだ。一般的にはイオン交換膜を使うことが多いらしい。鉄空気電池でも鉄・銅電池でも鉄電極側は似ているはずだ。鉄を析出させる鉄めっきが充電で、鉄が溶けてイオンになる反応が放電だ。放電で溶けた鉄イオンが電解液に流れ出すらしい。鉄・銅電池は超古代の電池といわれている。


★空気電極
炭素電極側が空気電極であると放電時に炭素中に入り込んだ酸素が作用するらしい。この空気電極が難しいらしい。空気電極は軽いイメージだが、炭素に貴金属触媒を加えるので高価になる。

★炭素電極
炭素電極を空気極ではなく銅電極を芯にした銅・炭素電極にしてみたい。銅は貴金属で水素より貴な電位だが、空気電極の酸素よりは起電力が低くなるはず。空気電極は実際には、酸素の電位が出ない。理由は不明で二酸化炭素や仕切り膜からの液漏れなどが疑われている。空気電池は作るのは簡単でもサイクル特性など電池としての性能を追求するのは難しい。私は自作の空気極が無理だとあきらめている。


★鉄・炭素・銅電池
放電で鉄電極から溶けた鉄イオンが備長炭や炭素粉を固めた炭素電極の炭素の隙間に入り込む電池がある。鉄イオンが鉄電極と炭素の間を行ったり来たりする電池になる予定だ。銅イオンも銅板と炭素の間をいったりきたりするはずだ。
鉄は硫黄やリンと複合させると脆くなる。鉄電池として使うと硫黄やリンによって析出溶解のサイクルが安定すると予想している。


★自作媒染液のもうひとつの使い道
ついでに染色もやってみる。コーヒー染めが一番簡単だと思う。古い白マスクでも染めてみるか。

真似する人はいないとおもうが、やるなら気を付けて。